半田晴久/深見東州 産経新聞連載第9回「理想の先生3」

学力別、少人数のクラス編成が理想的

 予備校や塾を含めた私学の先生に比べ、公立学校の先生はぬるま湯につかっている。極端にいえば、安定した身分に胡坐をかいているに等しく、教える技術を磨く職業意識は希薄になりがちです―。先週、そう指摘しました。

 

 公私校を対比した場合の一般論としての話で、公立のすべてがそうなのではありません。なかには、校長をはじめ教師が一丸となって受験を応援し、抜群の進学成果を上げている公立校があります。

 

 また、公立校は一学級30人から40人の児童・生徒を対象に、一斉授業を進めなければならないのも事実です。

 

 そのために、指導の照準を学力が「中ぐらい」の子供に合わせて、授業が進められ、結果として上位と下位の子供は置き去りにせざるを得ない実態も否めません。結果、どうしても授業の密度は中途半端になりがちです。

 

 そのジレンマに文部科学省や全国の教育委員会が、ここに来て、公立学校復権をめざして次々と改革に取り組んでいるのです。成果のほどは未知数ですが、改革案の中でも「学力別クラス編成」は大変有効な解決方法になる、といえます。

 

 私の予備校では27年前からやっていますが、学力別クラス編成プラス少人数クラスなら、効果がさらに上がります。

 

 しかし、「少人数クラス」の定義は難しい。1クラス何人以下を少人数制と呼ぶのでしょうか。私の経験から言えば、25人以下、できれば20人未満が理想です。でも、公立とくに高校では、そう簡単にいかないかもしれません。

 

 少人数クラスにすることの利点は、子供たちの理解度にバラツキがなくなるだけでなく、先生が個別の進行度合いも把握できるようになるのです。何よりも、子供たちの授業に対する集中力が高まり、学習意欲も増す効果があります。

 

 私の予備校が導入した学力別クラス編成プラス少人数クラスは、教える先生にとっても、教えがいがあることです。すなわち、子供たちの集中力や意欲が、先生の方にもはね返り、教える技術を磨く意欲をかき立てるところがいいのです。

 

 公立高校でもこのシステムが採用されれば、教師が教える技術を磨くことに生き甲斐を喜びを感じるようになり、公立校全体の教育レベルを押し上げる力になるのです。

 

みすず学苑 半田晴久

2003年4月24日 産経新聞