半田晴久/深見東州 産経新聞連載第10回「家庭の教育1」

家庭内暴力は長年の甘やかしのツケ

 先生の資質の問題を提起してきましたが、学校だけに教育の問題があるわけではありません。学級崩壊などの問題は、しつけなど家庭環境にもその一端があるのです。

 

 家庭内暴力は、引きこもりなどの“問題児”が起こす。そう思っている人が少なくないでしょう。だが、現実は、ごく普通の子供が些細なことで親に手を上げるケースが、最近は特に増えているのです。

 

 実は私のもとにも時々、目の周りに青あざをつくった母親が訪れ、「子供に暴行を受けました」と訴えてくることがあります。

 

 「あのおとなしい女生徒が、ここまでやるのだから余程のことに違いない」。そう思って詳しい話を聞くと、事情はまったく違っていて母親は、「もう少し勉強してはどうか、とちょっと注意しただけで暴力を振るわれた」というのです。

 

 受験を控えた子供に、「もう少し勉強しなさい」と注意するのは、母親として当然のこと。その当たり前に、いわば逆切れして暴力に訴える。そういう子供が驚くほど増えているのです。

 

 私の実感では、こうした家庭内暴力はこの6、7年の間に激増しています。実際、被害を嘆く母親らの声もよく聞きます。

 

 ともあれ、今は、子供に押し付けや、プライバシーに関することを尋ねると、思いがけない逆襲に見舞われかねない時代なのです。

 

 手厳しく感じられるかもしれませんが、子供の粗野な振る舞いには、親の自業自得という側面も否めないと、思うのです。

 

 かつて日本全体が貧しかった時代、家々では家族が互いに助け合って生きていました。親たちは、そういう自らの苦労を味わわせたくないと、子供に請われるままに、物を与えてきた。皮肉にも、その甘やかしのツケが出ているのです。

 

 もちろん、「個」が重視されるようになった価値観の変化というか、社会全体の生き方の変化も作用しています。

 

 ほとんどの家庭に、テレビやゲーム機を備えた子供部屋があり、そのなかで、子供は携帯電話で友達とやりとりしながら、毎日を過ごしているのです。そんな家庭環境では、親子のコミュニケーションなど望むべくもありません。そこに長年の甘やかしのツケが重なって、極限にまでエゴが肥大しているのが今の高校生なのです。

 

 

みすず学苑 半田晴久

2003年5月1日  産経新聞