半田晴久 産経新聞連載 第53回「来期受験に備え」

不得意克服は今から基礎をじっくり

 最後の入試に取り組んでいる受験生は、今が歯の食いしばりどころ。来年受験の現役生にとっては、卒業・終業式と同時に受験生となる。今から、不得意科目の克服対策、予備校選択など長期的な展望をもって取り組む必要がある。

 

 入試の合否は、高校、大学を問わず基本的に総合得点で決まる。極論すれば、得点の低い科目が一つあっても合格する。「不得意科目の克服に費やすエネルギーを得意科目を伸ばすことに使いなさい」と入試が迫った時期にアドバイスした背景には、その意味も含まれているのです。

 

 と言っても例外はあります。英語など配点の高い科目は、不得意では、合格最低ラインに到達せず致命的な打撃を受けかねません。英語などが不得意な生徒は受験前に、是が非でも克服に努めねばなりません。

 

 克服に役立つアドバイスは、最初から大きな目標を掲げないこと。とかく八十点、九十点取るレベルまで上げなければ、と考えがちですが。そう考えることが、苦手意識をさらに強め、結果的に勉強が空回りします。

 

 ですからコツは、目標を「とりあえず合格最低点を取れればいい」と低めに置き、基礎を時間をかけてじっくり習得することが近道です。英語を例にすれば、入試での出題事例が多いからと、長文の読解に取り組むのではなく、単語ややさしい短文を暗記する気持ちで徹底的に反復練習する。体力強化に、腹筋運動や腕立て伏せを毎日続ける感覚で行えば、自然と身に付くものです。

 

 受験に重点を置いた勉強法も同様で、分厚い参考書やレベルの高い問題集に取り組まず、入試問題を正答を暗記してしまうくらい、何回も解く勉強法も一つのやり方でしょう。

 

 論理が問われる理数科系を得意とする生徒の中には、暗記を苦手にする生徒もいます。数学は教科書の基礎的な例題を覚えることも不可欠で、暗記が苦手な場合は、友人と覚え合い競争を取り入れることや覚えるまで許さない先生に習えば、いや応なく効果を上げることができます。

 

 基礎学力は一朝一夕では身に付きません。継続した勉強が必要で、その環境を整えることも親の務めでしょう。必要に応じて塾や家庭教師も選択肢になります。「基礎学力が肝要」なことは、受験勉強における鉄則でもあります。

 

 

みすず学苑 半田晴久

2004年3月4日  産経新聞