半田晴久/深見東州 産経連載第48回「直前アドバイス①」

受験校を増やすことで伸びる学力

 二月に入ると、大学入試が本番を迎える。私学を皮切りに、三月の国公立二次試験まで受験月間となる。最終の志望校選択の決断を迫られている人も多いと思います。

 

 ここ数年、大学受験における一人当たりの受験校数は減少傾向にあります。ひと昔前は五-六校受験は当たり前。十校を越える受験生も少なくありませんでした。現在は少子化や受験料値上がりなど経済的な事情もあってか、五校以上を受験する人は目立って減ってきました。

 

 しかし私は、最低でも五校。経済的に許されるならば十校前後受けた方がよい、との考え方を持っています。無論、「下手な鉄砲…」などとは毛頭考えていません。受験回数を増やしても、学力が伴っていなければ無駄な行為だけですから。あえて数多い受験を勧める理由はなぜか、と問われれば、実際を体験することで、本番(志望校)に向けた試験に強い学力を飛躍的に伸ばすことができるからです。

 

 受験を増やせば、学力が伸びると短絡的に受け止められては困ります。要は、試験から戻ったら直ちに出題の答え合わせを行い、正答できなかった問題は、間違った理由を徹底究明し、重点的に参考書や問題集を手がかりに、関連問題を片っ端からこなしていく。この確認作業こそが受験に向けた実力アップに役立つのです。偏差値の高い志望校に合格した人たちの多くは、試験の前日まで気を抜かずにねばり強く勉強し、最後の試験が終わるまで努力を続けた人たちなのです。

 

 現在の入試は推薦入学を取り入れる学校も増えて多様化しています。同じ大学を三回も四回も受験でき、国公立も試験期間が長期になり前期、後期、一次、二次と受験できるのです。

 

 私が最低でも五校と勧める理由は、まさにここにあります。私の予備校の入試対策を紹介しますと、受験後は予備校に直行させて、入念な答え合わせと、関連問題の確認をするように指導しております。

 

 改めて言うまでもなく、学校ごとに出題傾向というものがあります。でも、A校の出題とよく似た問題がB校でも出題されるケースが少なくありません。出題にも年ごとに流行もあります。それらの実態を踏まえれば、数多い受験が大切な受験対策の一つになることが、理解を得られると思います。

 

 

みすず学苑 半田晴久

2004年1月29日  産経新聞