半田晴久/深見東州 産経連載第22回「受験に備えて4」

友人や先輩が子供の一生を左右する

 子供は環境によっていかようにも変わります。環境が変わることで、怠け癖が染みついていた子供も、前向きに勉強に取り組むようになるものです。かくいう私自身がそうでした。

 

 恥ずかしながら、私の小学校時代の成績は燦然と輝くものでした。何しろ、通知表は、国語から体育まですべての科目が、5段階評価で・サンサン・と3で占められていたのですから。正直、当時の私は勉強が好きではありませんでした。先生に言われたことしかやらなかった。それで良いと思っていたのです。

 

 それが、中学校になって友達が変わり一変したのです。忘れもしません。一年生最初の中間テストの一週間前、中学で友達になったM君とT君が、中間テストの勉強をしようと遊びに来たのです。小学校ではなかった中間試験の勉強方法を全く知らない私に具体的に教えてくれました。「先生が教科書の中で線を引いておきなさいといった部分を、ノートに書き写して覚えるんだよ。それから、教科書の太字で書かれた所も覚えるんだ。先生が黒板に書いたこともだよ」

 

 こうして、三人が机を並べて中間テストの勉強をしたのです。

 

 アラ、不思議。いわれるままに勉強したら、私の成績は小学校時代とは比較にならないほど上がっていました。それをきっかけに、私は前向きに勉強に取り組むようになったのです。

 

 私の体験だけでなく、「近所に勉強の良くできる子供がいて、一緒に遊んでいるうちに勉強をするようになった」という実例は、読者の周囲にも、たくさんあるのではないでしょうか。

 

 このように、環境(よき学校、よき友人関係)がプラスに働くのは、何も勉強の面に限った話ではありません。人間としての成長に欠くことのできない重要な要素になっているのです。成長過程で、とりわけ高校時代は人格の形成期。この時期に巡り合う友人や先輩によって、子供の一生の生き方が大きく左右されます。それほど、学校の選択、つまり受験には大切な意味があるのです。

 

 子供を思うなら口うるさく注意する前に、しっかりとした環境を整えてやること。受験に限った話ではなく、生活環境、教育環境、良い文化に触れる環境を与えることが、重要な親の務めだと思います。

 

 

みすず学苑 半田晴久

2003年7月24日  産経新聞