半田晴久/深見東州 産経連載第35回「定期試験と両立」

学校の試験準備早めに始めるしかない

 受験勉強のペースは狂わせたくない、さりとて学校の定期試験の準備もおろそかにできない…。受験勉強も追い込みの時期を迎えたこの季節、受験勉強と学業との両立に悩む受験生や父母からの相談がにわかに増えてきます。

 

 言うまでもなく、受験生にとっての最終ゴールは入試の突破であり、学校の定期試験で良い成績を取ることではありません。仮に、定期試験が最高得点でも受験に失敗しては元も子もなくなってしまいます。とはいえ、学校の試験を無視してもいいという道理はなく、むしろ、定期試験はおろそかにできません。この成績結果が推薦試験の合否判定の基準になるのですから。

 

 では、受験勉強と定期試験の勉強を両立できる方策は、といえば一にも二にも学校の試験準備を早めに始めること。これ以外にありません。私は多くの受験生を指導してきましたが、模擬試験の成績も学校の成績も良いトップクラス(東大に現役で合格するような)の生徒は、定期試験の三週間ぐらい前から準備を始めています。その少し下の生徒は約二週間前、さらに下のレベルでは一週間前。一番下のレベルとなると、一夜漬けでごまかすか、何も勉強せずに試験に臨む”開き直り組”も少なくありません。

 

 つまり、模試の成績の良い生徒は学校の試験準備もおろそかにしていないわけです。逆に言えば、学校の試験をおろそかにしていないから模試の成績も良い、ということになろうかと思います。

 

 実は、学校の定期試験と入試とは密接に関連しているのです。手元のデータによれば入試で出題される問題の80%は学校の授業の範囲内。残りの20%が教科書外からの問題で、十問中一問か二問にすぎません。

 

 ところが、受験生や父母のなかには定期試験と本番の入試は別物と考えている人が多く、定期試験期になると「どうしらたら両立できるんでしょうか」「定期試験にも力を入れるべきなのでしょうか」と相談に来ます。そのような認識は、改める必要があります。定期試験に備えた勉強こそが即、入試突破力の基礎になるわけですから、できれば三週間前から、遅くとも二週間前には、真剣に試験準備を開始したいもの。何よりも、早ければ早いほど、結果的にも、受験勉強のペースも狂わさずに済みます。

 

 

みすず学苑 半田晴久

2003年10月23日  産経新聞